薬用植物紹介

ゴボウ

ゴボウ
Arctium lappa L.

ヨーロッパからシベリア、中国に生え、日本でも各地で栽培されている越年草。草丈は約1.5m、根は直根性で40cm~150cm(品種によって異なる)になる。葉は、心臓形で長さ約40cmほどになり、裏面に白い綿毛がある。

春に種を蒔くと、翌年の夏に直径約4cmの紫色ないし白色のアザミに似た花を咲かせる。

日本には薬草として中国から伝来したといわれ、縄文時代の貝塚からゴボウの存在が確認されており、渡来はかなり古いものと推定されている。日本以外では、根を食材とせず、中国では食用ではなく薬用のみに用いられている。

薬用部分は、葉、果実、根で生薬名はそれぞれ、「牛蒡葉(ゴボウヨウ)」、「牛蒡子(ゴボウシ)」、「牛蒡(ゴボウ)」である。根および葉は、消炎、収れん作用、催吐作用があり、特に種子は、消炎、排膿、利尿作用がある。でその種子は、消炎消腫の目的で漢方処方に配合されており、代表的なものに分泌物の多い慢性湿疹に用いる「消風散」がある。

奈良県の宇陀市では「宇陀金ごぼう」が栽培されており、雲母(キララ)を多く含んだ土壌で栽培されるため、ゴボウに付着した雲母が光り、縁起物として正月のおせちに珍重されている。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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