ボタン科の多年生の草本で、高さは50~80cmで、茎は直立して分枝する。根はやや多数で細長い紡錘状に肥厚し、わずかに特異な香りがあり、味は緩和でやや甘く、後にやや苦い。
花は枝先につき、単生で初夏の頃に咲く。品種は多数あるが、大型で白ないし紅色、がく片は3~5枚で一番外側のものは葉状の場合がある。花弁は10枚以上、雄ずいは多数、雌しべは3~5個ある。
花の美しさに注目され観賞用にも栽培されるが、薬用のものは根を太らされるため、つぼみの段階で切り取られる。
日本で江戸時代から栽培されてきた和芍系統、シベリアや中国から欧米に渡っていった洋勺系統や、ヨーロッパで元々自生したものを園芸的に改良したオランダシャクヤク系統などがあり、最近では種間交雑によるハイブリッド系統も増えている。
薬用にされる特定の品種はないが、日本では和勺系統の根茎が「芍薬」として用いられている。中でも特に奈良県内で栽培されるヤマトシャクヤクは薬用としては非常に優れた品種とされている。
(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)