写真はカンサイタンポポ
キク科(Compositae)。
タンポポ属植物は北半球の亜寒帯と温帯に広く分布する多年生草本で、日本には関東地方を中心に分布するカントウタンポポ(Taraxaum platycarpum Dahlst.、関西から四国、九州にわたって分布するカンサイタンポポT.japonicum Koidz.、関東から四国、九州に分布するシロバナタンポポT.albidum Dahlst.等の日本在来種の他、帰化種でヨーロッパ原産のセイヨウタンポポT.officinale Weber等約20種が草地や道端、人家の近くに野生する。
いずれも外観が類似する多年草で、根元から羽状に切れ込みのある葉をロゼット状に広げ、全草を傷つけると白い乳汁が出ることや、太く長い根を持つことが共通している。
通常、春に花茎の頂に黄色(シロバナタンポポは白色)の頭状花を付けるが、四季を通じて見られることもある。花後、冠毛を持った果実ができ、風で運ばれる。
全草または根を漢名「蒲公英(ホコウエイ)」と称し、苦味健胃、消炎、解熱、利尿(植物の中のカリウムの利尿作用により、排泄器疾患や体液の滞留を治す)。催乳、強壮薬とする。また、民間では、主に健胃、催乳薬として消化不良、胃痛、乳汁分泌不足に用いる他、切り傷、いぼとりなどに外用する。
(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)