キク科(Compositae)中国原産の多年草で、日本には八代将軍吉宗の時代に伝来し、特に佐渡ヶ島で盛んに栽培されていたので、「佐渡蒼朮」(サドオケラ)と呼ばれている。
根茎から多数の茎が立ち、草丈は60~80cm で、茎は細く、各茎は5~20本の分枝を着生する。
葉は単葉で互生し、茎の上部では卵状披針形又は披針形、とげ状の細鋸歯縁で、先端は鋭く尖り、葉柄は茎を少し包んでいる。茎の下部では葉が欠刻状に切れ込むものもある。
8~9月に頭状花序を頂生し、基部には羽状に深列した苞葉(魚骨状苞)が一列に付き、その内側には総苞が5~7層あり、円柱状をなし、花冠は白色~帯紅色で管状である(開花は10月頃)。
根茎は、通常不整塊形である。
日局「ソウジュツ」(蒼朮)は A. lancea, A. chinensis の根茎で、切断面は白色綿状の結晶(β-eudesmol, hinesol)を析出する。
主要成分は、ヒネソール、β-オイデスモール及びアトラクチロディン(精油)で、アトラクチロンは含まないか含まれても極微量である。
適用は健胃薬として、また漢方処方用薬として消化健胃、止瀉整腸、利尿、鎮暈、保健強壮、鎮痛を目的とした処方に配合される。
最近、東洋医学では特に水分の代謝異常を改善するものとして見直され、東洋医学会漢薬材料委員会で栽培、その収穫物について五感、化学的及び臨床的評価が行われている。
薬理作用としては、1)抗消化性潰瘍 2)利胆 3)血糖降下 4)電解質代謝促進 5)抗菌あり、まだまだ未知の部分を含み、臨床応用の拡大が期待される。
(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)