キク科(Compositae)。中国原産で古く日本に渡来し帰化した多年草。茎は円柱形で直立し、高さ1~1.5m。葉は対生で葉柄があり、上部の葉を除いて3つに深く裂ける。8~9月に枝分かれした茎の先に淡紅紫色の細長い頭花を多数付ける。又、万葉の秋の七草の1つで、古くからフジバカマと発音しており、これに藤袴の2字があてられた。又、昔より乾燥したフジバカマを寝室に敷いて床につくと高貴な香りによって心地よく眠れたものだという。これは葉を半乾きの状態にするとクマリン配糖体が加水分解されてオルト・クマリン酸が生じて芳香を放つことによる。
花期の全草を乾燥したものを蘭草(ランソウ)と称し[中医学で佩蘭(ハイラン)]、利尿、下熱、通経剤とし、浮腫、発熱、頭痛、生理不順に、又黄疸に用いる。民間では糖尿病の予防と治療又は皮膚病に浴料とする。
(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)