- クチナシ01
日本の西南部から台湾及び中国の暖地にかけて分布し、自生または庭木として植えられるアカネ科の常緑性低木。
高さは1~2mで、枝分かれが多い。葉は長さ5~10cmの楕円形で、先が尖り光沢がある。花は6~7月に咲き、大きさは6cmくらい、白色で芳香がある。果実は、長さ2cmくらいの楕円形で、縦に約6つの筋(稜(りょう))があり、熟すと黄赤色~赤色になる。クチナシの名は、この果実が熟しても開裂しない(口を開かない→クチがない)ことに由来するという。
完熟した果実を赤くなる前につみとり、がく等を除いて乾燥したものは、生薬のサンシシ(山梔子)である。第15改正日本薬局方に収載されている。また、神農本草経の中品には巵子(しし)として収録され、古くから用いられている漢方の要薬である。
民間では、打撲傷・ねんざに、塗布薬として外用で用いることもある。
薬用以外の用途では、飛鳥時代から黄色の染料や着色料として、現在も栗きんとんやタクアン、和菓子など食品の黄色着色料として使用されている。食品添加物のクチナシ色素には、黄色素の他に青色素と赤色素もあるが、黄色素はクロシンを主成分としたもので、青色素と赤色素はイリドイド配糖体に酵素等を添加して製したものである。
クチナシは、純白の花とその芳香などから古来より観賞用に好まれて植えられているが、栽培品種の八重咲きなどには果実のできないものが多く、薬用的価値はない。
(奈良県薬事研究センターよりご提供)