- ベニバナ
キク科(Compositae)。エジプト原産で、古くから世界各地で栽培される1~2年生草本。中央アジアを経て、中国へ伝えられ、日本には6世紀末から7世紀初めに中国から織物技術の伝来と同時に染料として導入された。高さ80~120cm。茎は直立し、上部で分枝、全株無毛。葉は長楕円形で縁に鋸歯があり、先は尖ってとげ状となり、質は硬く、互生する。花は最初鮮黄色の管状花で次第に橙色に変わり、更に鮮紅色となり、最終的に脱色し、汚褐色~赤黒色となる。花期は7~8月。
ベニバナの管状花をそのまま又は黄色色素の大部分を除き、圧搾して板状としたものを「紅花(コウカ)」と称し、通経、婦人病薬として生理不順、血行障害、冷え性、更年期障害などに用いる。ただし、生薬の生産には有刺株を用いている。
日本では山形県がその主な産地であり、「紅餅(紅花餅)」と呼ばれるものが作られる。この紅餅は一昼夜湿潤状態でむらし、臼、鉢等でついて水溶性色素を除き、餅状の粘りが出たところで銭形に整形し、筵と筵の間に挟んで乾燥させたもので、奈良平安の頃から、染料や日本女性の化粧品(口紅)の原料とされてきた。
また、種子の脂肪油(サフラワーオイル)はリノール酸を70%も含み、食用油として使用するとコレステロール代謝の正常化、動脈硬化予防の効果があるとされ、アメリカが世界第一の紅花油の原産国となっている。
(奈良県薬事研究センターよりご提供)