薬用植物紹介

フジバカマ02

フジバカマ
Eupatorium fortunei Turcz.

本州関東地方以西、四国、九州及び朝鮮半島、中国に分布し、河原などの湿っている場所に生える多年草。草丈1~1.5mで茎は直立し、円柱形で無毛。葉は対生し、多くは3裂する。花期は8~9月で茎頂に淡紅紫色を帯びた白の管状花を散房状につける。 薬用部分は全草で、花期に地上部の全草を刈り取り2~3日日干しにし、香りが出たら風通しのよい場所で陰干しする。生薬名は「蘭草(ランソウ)」といい、血糖降下作用、利尿作用がある。また、神経痛、皮膚のかゆみに外用し、浴用剤にも用いられる。 フジバカマ(藤袴)は、万葉集に秋の七草として詠まれている。また、五十四帖よりなる源氏物語の第三十帖の巻名にもなっており、奈良、平安時代には自生していたことがうかがえる。しかし、近年河川改修などにより、生育環境が消失し、環境省のレッドデータブックでは、準絶滅危惧種に分類され、奈良県、神奈川県、山梨県、福岡県、佐賀県のレッドデータブックにおいては、絶滅種に分類されている。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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