薬用植物紹介

サジオモダカ

サジオモダカ
Alisma orientale Juzepczuk

アジア東部の沼や水田に自生する多年生草本。オモダカ科。冷涼、寒冷を好む。

高さは50~100cm、葉は根茎から輪生し、長い葉柄と卵状だ円形で先のとがった葉身を持つ。サジオモダカの名前は、この葉の形が匙(さじ)に似ていることによる。6~9月には、伸びた花茎の先に小さな白い三弁花が多数咲く。

生薬としては塊茎を調製して用い、肥大し充実して重質で、新しい断面が淡黄白色のものが良品とされている。水田で栽培し、開花を避けるため花茎は根本から摘み取り根茎を良く肥大させる。国内の生産量は少なく、ほとんど中国からの輸入品でまかなわれている。

生薬名の沢瀉(たくしゃ)は、沢の水が瀉(そそ)ぐ(水が去る)場所に多くはえるところからで、「沢水の傾瀉する如く小便を出すとの意味がある」と古事にあるように利水効果を持つとされている。また神農本草経には「風寒湿痺、乳難、消水を主る。五臓を養い、気力を益し…」と記載される、漢方の要薬である。

日局名:
タクシャ(沢瀉)
採取時期:
11月ごろ塊茎を掘り取る。
調製法:
塊茎から葉柄と細根を除き、表皮をよく除いて乾燥する。
成分:
四環性トリテルペン(アリソールA、Bなど)、セスキテルペン、多量のでんぷん、アミノ酸、カリウム塩、ビタミン類、など。
用途:
尿の出が少ない又は頻尿、めまい、口渇、胃内停水などの症状を目標に、単味では用いず、利尿薬、尿路疾患用薬、鎮暈薬とみなされる漢方処方に配合される。
漢方処方:
胃苓散、五苓散、柴苓湯、猪苓湯、当帰芍薬散、八味地黄丸、など。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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