薬用植物紹介

アツミゲシ

アツミゲシ
Papaver setigerum

越年草で、高さは約70cm程度で、葉にはやや深い切れ込みがあり、茎を巻きこんでいることに特徴がある。また、全体的に毛が少なめである。つぼみは下に垂れているが、咲く時には上に向いて春から初夏にかけて頭頂部に一重の4弁の花が咲く。もともとは地中海原産の帰化植物で、その名は渥美半島で発見されたことによる。春頃の花を咲かせる頃がもっとも見つけやすい時期であるので、もし近辺に見つけた際には警察や県庁薬務課・保健所までご連絡していただきたい。なお、葉が菊のようにかなり深い切れ込みが入って、葉が茎を巻き込んでいない形のオニゲシやポピー、ヒナゲシなどについては栽培しても問題はない。

アツミゲシはケシ(Papaver Somniferum)同様にあへん法による「けし栽培者」としての許可なしには栽培は認められていない。これはケシと同様にアヘンを採取することができるためである。アヘンの研究は古くは1800年代から行われ、モルヒネの単離は天然物化学史上でも有数の偉業である。それに引き続いてコデイン、パパベリン、ノスカピン(当初はナルコチン)が単離された。それ以来,現在に至るまで強力な鎮痛作用を持つモルヒネは、現在では疼痛管理においては欠かせない重要薬の一つとなっている。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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