薬用植物紹介

トリカブト

トリカブト
Aconitum japonicum

キンポウゲ科の多年草で、高さは1~2m程度で秋頃に青紫色の特徴的な花を咲かせる。この花の形が独特で、舞楽で用いられる鳳凰の形をかたどった冠である「鳥兜」に似ていることから名前が付いたといわれている。

全草に毒性があるとされ、春頃の芽吹いた時期にニリンソウやゲンノショウコなどと間違えて葉を食べて中毒症状を示すこともある。

根に含まれるアコニチンの毒性についてはよく知られているが、この根の特に母根の部分を「烏頭(うづ)」、子根の部分を「附子(ぶし)」と呼ぶ。もちろん毒性については修治により減弱させる必要がある。重要な生薬であるが現在まで日本薬局方に収載されていなかったが、今後、収載される予定となっている。

烏頭・附子

採取時期:
秋頃の花が咲く直前に掘りあげた母塊根を烏頭、新しく生育した塊根を附子とする。
調製法:
附子を以下のいずれかの方法で修治したものを加工ブシとして用いる。
  1. 高圧蒸気で処理
  2. 食塩または岩塩の水溶液に浸してから高圧蒸気処理
  3. 食塩または岩塩の水溶液に浸してから石灰を塗布
成分:
アルカロイド類(アコニチン、ヒパコニチン、メサコニチン、エサコニチンなど)
用法・用量:
修治することでジエステル型アルカロイドが加水分解されてモノエステル型・非エステル型となり、毒性が減弱される。
漢方で鎮痛・強心・興奮・新陳代謝の機能亢進などを目標として配合される。
漢方処方:
桂枝加朮附湯、牛車腎気丸、真武湯、八味地黄丸、麻黄附子細辛湯、葛根加朮附湯など

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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