薬用植物紹介

アミガサユリ

アミガサユリ
Fritillaria verticillata

中国原産の多年生の草木で、草丈は15~55cm程度である。茎の下部の葉は対生し、狭被針形ないし線形で6~17cmほどの長さがある。中・上部から出る葉は3~5個が輪生し、特に上部の葉はひげ状になる。3~4月頃に先端の葉の脇に6弁のつりがね状の淡黄色の花がつく。花の外面は緑色の筋があり、内面には紫色の網状の紋様がある。この内面の紋様が編み笠に似ていることからアミガサユリの名が付いた。

5~6月頃に地上部が枯れた頃に鱗茎を掘り出し、皮を取り去った後に石灰を混ぜ合わせて乾燥させたものを生薬名「貝母(ばいも)」として用いる。2個の肥厚した鱗茎が相対して組み合った偏球形で貝が合わさったような形をしていることから「貝母」の名が付いた。外部は白色で中心部はやや黄色がかっている。

貝母

採取時期:
地上部の枯れた頃に鱗茎を掘り、皮を取り去ったものを石灰と混ぜて乾燥させる。
成分:
フィリチリン・フィリチラリンなどのアルカロイドなどで、これらは中枢神経を麻痺させ、呼吸を抑制したり心筋に作用して拍動数を減少させる。
せき止め薬として利用されるのは、この呼吸や脈拍を緩和する作用があるからである。
薬効・用法:
鎮咳・去痰・排膿作用を持ち、1日量1~3gを煎じて服用する。
市場品は中国産が多いが、吉野地方で栽培生産されているものは大和貝母と呼ばれている。その他、鑑賞・切り花用として栽培し、その副産物として生産されることもある。

(奈良県薬事指導所提供)

[↑]