薬用植物紹介

シャクヤク

シャクヤク
Paeonia lactiflora Pall.

ボタン科の多年生の草本で、高さは50~80cmで、茎は直立して分枝する。根はやや多数で細長い紡錘状に肥厚し、わずかに特異な香りがあり、味は緩和でやや甘く、後にやや苦い。

花は枝先につき、単生で初夏の頃に咲く。品種は多数あるが、大型で白ないし紅色、がく片は3~5枚で一番外側のものは葉状の場合がある。花弁は10枚以上、雄ずいは多数、雌しべは3~5個ある。

花の美しさに注目され観賞用にも栽培されるが、薬用のものは根を太らされるため、つぼみの段階で切り取られる。

日本で江戸時代から栽培されてきた和芍系統、シベリアや中国から欧米に渡っていった洋勺系統や、ヨーロッパで元々自生したものを園芸的に改良したオランダシャクヤク系統などがあり、最近では種間交雑によるハイブリッド系統も増えている。

薬用にされる特定の品種はないが、日本では和勺系統の根茎が「芍薬」として用いられている。中でも特に奈良県内で栽培されるヤマトシャクヤクは薬用としては非常に優れた品種とされている。

芍薬

採取時期:
4~5年経過した9~12月に根を掘りとる
調製法:
水洗いした根から周皮を除き、乾燥
性味:
味は酸・苦、性は微寒
帰経:
肝経
成分:
ペオニフロリン、アルビフロリンなど
用法・用量:
主として漢方処方用薬として用いる。緩和、鎮痛、鎮痙作用を持つ様々な漢方処方に用いられる。1回1~2g、1日3~6gを煎じて服用。
漢方処方:
当帰芍薬散、芍薬甘草湯、。葛根湯、小建中湯、桂枝加芍薬湯、温清飲を始め、様々な漢方処方に高頻度(一般用漢方210処方中約1/3)で配合されている。

(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)

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