薬用植物紹介

ハナズオウ

ハナズオウ
Cercis chinensis Bunge

マメ科の落葉低木。元禄の頃(1695年頃)中国から渡来し、現在では広く庭木として庭園に植栽される。高さは2~4m。葉はマメ科に珍しく単葉である。奈良県では、4月の中旬に葉よりも先に2年目の枝上の所々から紅紫色の小型の蝶形花を束生する。豆果は平たく長さ5~7cm。

ハナズオウの名はスオウ Caesalpinia sappan L. からとる蘇木染めの紅紫色に似ていることに由来する。薬用にはほとんど用いられない。

スオウ Caesalpinia sappan L.

マメ科(Leguminosae)。熱帯アジアに広く分布する常緑の小高木で高さ5~10mに達する。葉は2回羽状複葉で幹に小さなトゲがある。5~6月にかけて、黄色の5弁花を咲かせる。日本ではスオウはほとんど見ることがない。

漢方では、心材を蘇木(ソボク)または蘇方木(スホウボク)と呼び、打撲、産後の出血、生理不順、下痢などに使用する。

採取時期:
一年中、外皮及び周辺を取り除き、木芯をとって日干しする。
用量:
蘇木2.5~9g を煎じて服用する。ただし、妊婦には禁忌。 外用には適量を用いる。
性味:
性は平、味は甘・鹹
帰経:
心・肝・脾経
成分:
木部は無色の原色素であるブラジリン(約2%)及びその酸化体であるブラジレインを含み、染料として使用される。その他、α-フェランドレン、オシメン等を主成分とする製油、タンニンを含む。
用途:
漢方処方例:
通導散、蘇木湯

(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)

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