奈良県薬剤師会

薬用植物紹介


スイセン
Narcissus tazetta L.var.chinensis Roem.

地中海沿岸の原産で、日本へは中国から伝来したとされ本州関東地方以南の暖地の海岸近くに生えるほか、観賞用に庭園などでよく栽培されるヒガンバナ科の多年草。高さは20〜30cm、花期は1〜4月で茎の頂に白色の花を4〜8個つける。鱗茎は卵型で下方に多数白色のひげ根を出す。スイセンという名は中国での呼び名「水仙」を音読みしたもの。属名Narcissusはギリシャ神話に登場するナルキッソスに由来する。彼は神に罰を与えられ、泉に映った自分の姿に恋をしてしまい、水辺から離れられなくなり憔悴して命を失ってしまう。ナルキッソスが亡くなった跡に咲いた花がスイセンであったという話である。

薬用部位は鱗茎で消腫薬として、でき物などに用いられる。生の鱗茎を金属製以外のおろし器ですりおろした汁に小麦粉を加えてクリーム状にしたものを患部に直接塗布しガーゼでおさえる。ただし、有毒なアルカロイドであるリコリンなどを含んでいる有毒植物であるため内服してはいけない。葉がニラと似ているため、ニラと間違えて食べ中毒症状を起こすという事例が時々報告されている。ニラとの大きな違いは、葉からの臭いが無いことと鱗茎がある点である。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

[↑]