薬用植物紹介

テッセン

テッセン
Clematis florida Thunb.

中国原産で、江戸時代に日本に渡来し、観賞用に栽培される木質の落葉つる性植物。

茎は木質化するが細く長く伸びる。冬期には割れやすく、枯れたように見えるが、春になると新しい枝を伸ばす。

葉は、ひとつの葉柄に3~5枚の小葉が付き、小葉は卵形。小葉の葉柄が臨機応変に曲がりくねって周りのものにからみつき、全体を固定していく。

花期は、5~6月。夏から秋にかけて咲くこともある。葉の付け根から出た長い柄の先に一つ、大形の花を咲かせる。花びらとされるものは萼片で、6枚のものが多い。なお、近縁種のカザグルマ(Clematis patens)は萼片が8枚のものが多い。

薬用部位は、根と根茎。秋~冬にかけて根と根茎を掘りあげ、水洗いして日干しにする。根と根茎には、サポニンなどを含むが、葉には有毒アルカロイドのプロトアネモニン等を含むため、利用には注意が必要である。

日本薬局方にはイレイセン(Clematidis Radix:威霊仙)が収載されているが、基原植物としては、サキシマボタンヅルClematis chinensis Osbeck、Clematis manshurica Ruprecht又はClematis hexapetala Pallasの根及び根茎とされているため、本種ではない。イレイセンにも、サポニン、プロトアネモニン等が含まれ、神経痛のしびれや痛みを治す漢方処方に配合される。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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