奈良県薬剤師会

薬用植物紹介


ヤツデ
Fatsia japonica (Thunb.) Decne. et Planch.

ウコギ科の常緑低木。丈夫なため庭などによく植栽される。

ヤツデは、葉の形から「八手」と書くが、一般には奇数に分裂する。八手としたのは、数多いことを八で表現している。天狗の葉団扇(テングノハウチワ)とも呼ばれる。

樹高2〜3m。幹は数本立ち、枝は太くまばらに分枝する。葉は互生し、長柄で水平に展開し、掌状に7〜9深裂しており、厚みがある。縁は細かく切れ込み、若葉は茶褐色の綿毛に覆われる。

花期は、10〜11月。幹の先端に円錐状に散形花序が付き、多数の白色の小さな花を開く。両性花と雄花があり、円錐上部の両性花より咲き始める。両性花には雄性期と雌性期があり、雄性期には5枚の花弁と5本の雄しべがある。花弁と雄しべが落ち、しばらくすると雌性期となり、同花受紛を避ける仕組みになっている。雄花は最も後に咲く。寒い時期に咲くが、他の花が少ないため、虫が集まりやすく、虫媒される。果実は翌年の初夏に黒熟する。

薬用部位は、葉。漢名から八角金盤(ハッカクキンバン)とされる。葉を取り、細かく刻み日干しにする。随時採取出来るが、葉が厚く乾燥しにくいため、晴天が続くときがよい。

葉や根皮には、サポニンのα-、β-Fatsinが含まれ、葉からとれたエキスは去痰薬として用いられる。民間では、葉を煮出して浴湯にいれ、リウマチに効果があるとされている。ただし、過剰摂取により下痢や嘔吐、溶血を起こすため、注意が必要である。また、魚毒作用があり、葉をすりつぶして川に投じ、補魚に用いられたこともある。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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