奈良県薬剤師会

薬用植物紹介


シオン
Aster tataricus Linné fil.

キク科の多年生草本で中国、朝鮮半島などが原産。わが国へは古い時期に入っており、観賞用などとして盛んに栽培されたようである。鬼の醜草(しこぐさ)とも呼ばれる。これは、今昔物語の「親を亡くした息子は紫苑を墓に植えて、墓参りを欠かさなかった。墓を守る鬼は息子の孝心に感じいった。」という話に由来すると言われている。

草丈1〜1.5m。茎は直立し、上方で多少分枝する。葉は互生し、長楕円形で、先端は尖り、不整の鋸歯縁をもつ。茎、葉には粗毛があり、触るとざらつく。

根は短い主根から多数の細根に分かれ、馬尾状となる。

花期は8〜10月。茎頂で枝分かれして散房状に斜上し、径約3cmの淡紫色の頭状花を付ける。花の色は、平安時代にも紫苑色として好まれ、「源氏物語」には装束の内着の色として描かれている。

日本薬局方外生薬規格に、シオン(ASTERIS RADIX、紫苑)として掲載されている。

薬用部位は根と根茎。10〜11月に根と根茎を堀り上げ、細根をほぐすようにして土を洗い落とし日干して乾燥する。

根には、サポニン、精油などを含み、鎮咳・去痰薬として用いられる。1日量3〜10gを水300mLで1/3量になるまで煎じ、それを3回に分けて服用する。

※紫苑の苑は草冠に宛と書くが、苑の字を用いても良いとされている(局外生規)ので、ここでは紫苑とした。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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