薬用植物紹介

アマチャ

アマチャ
Hydrangea macrophylla Seringe var.thunbergii Makino

ユキノシタ科の落葉性低木で日本原産。

樹高は1~2m。葉は対生で、有柄の長楕円形で、先端は尖り、辺縁は鋸歯縁。

7月に枝先に多数の花を集散花序につける。周囲にはがく片が花弁状に発達した装飾花があり、初め青く、徐々に淡紅色になる。ヤマアジサイとよく似る。挿木と株分けで増殖できる。 Hydrangea spp.(アジサイ)のうち甘味のある成分変異株を民間で発見して使用を始めたもの。

昔から4月8日の灌仏会(釈迦の誕生日)に煎汁を仏像に注ぎ、また飲用する風習がある。

なお、ウリ科のアマチャヅルは、葉をかむと甘みがあるのでそうよばれるが、アマチャとは植物学的にも無関係である。

日本薬局方には、アマチャ(Hydrangae Dulcis Folium、甘茶)として収載されている。

9月に地上10cmくらいのところで刈り取り、葉をつみとって水洗し、2日間日干しする。これに水を噴霧し、むしろをかぶせて1日放置し、発酵して温度が25℃に上昇したら、手で葉をよく揉んでから更に乾燥して仕上げる。

主成分は甘味成分d-phyllodulcinで、サッカリンの2倍の甘味を持つ。生葉中には配糖体(苦味物質)として含まれており、加工調製によって加水分解したものである。

適用は、丸剤などの矯味(甘味)薬、口腔清涼剤の製造原料とする。また砂糖の代用として、糖尿病患者に用いられる。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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