奈良県薬剤師会

薬用植物紹介


カリン
Chaenomeles sinensis Koehne

バラ科の落葉性高木で中国が原産。日本でも広く栽培されている。

高さは5〜10mになり、樹皮が鱗状にはげ落ちるため幹には雲紋状の模様がある。葉は楕円形で縁には細かい鋸歯がある。花は4月頃に咲き、短枝の先に3cmほどの淡紅色の花をひとつ付ける。果実は卵形で10cmほどあり、初め緑色をしているが、11月頃には落葉した枝に黄色く熟してぶらさがっている。成熟した果実は表面にロウ状のテカリが出て甘い香りを放つが、味は渋くて酸味が強く、また堅いため生食はされない。

よく似たマルメロの果実と混同されるが、マルメロは中央アジア原産で、葉の縁に鋸歯はなく、果実の表面には綿毛がある。また果肉は加工すると柔らかくなる。

生薬には果実が用いられる。成熟したら採取して縦割り又は輪切りにし、乾燥させる。

日本薬局方外生薬規格には「木瓜(もっか)」として収載されている。中国ではボケの果実を「木瓜」又は「皺皮木瓜」といい、カリンの実は「榠櫨(めいさ)」又は「光皮木瓜」と呼ばれる。また他に、日本特産のクサボケの実は「草木瓜」又は「和木瓜」といい、パパイヤにも「モッカ(木瓜)」という呼び方がある。

成分としてリンゴ酸、クエン酸、サポニン、タンニンなどを含む。

薬効は利水作用、鎮咳、鎮痛などで、漢方処方の例として鶏鳴散加茯苓(けいめいさんかぶくりょう)(脚気、下肢の浮腫などに用いられる)があるが漢方ではほとんど使われていないらしい。

民間的な利用法はよく知られている。成熟果実をお酒や砂糖に漬けて果実酒やシロップにしたり、乾燥させた果実を煎じたりして、咳止めや疲労回復に利用されている。

材面の美しさを利用して家具や工芸品に用いられるカリンは、マメ科の常緑高木で別のものである。ナーラ、インドシタンとも呼ばれ、紫檀に似ており代用品にもなる高級材である。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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