薬用植物紹介

アカヤジオウ

アカヤジオウ
Rehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino

ゴマノハグサ科の多年生草本。高さ10~30cm、葉は倒卵形~長楕円形でしわが多く、下面は紫色を呈し、全株に灰白色の軟毛を密生している。初夏に紫紅色~淡紫紅色で筒状で先端が唇形をした花を数個つける。

アカヤジオウの他、カイケイジオウと呼ばれる種類もあるが、後者は根が肥大化する点を除いて大きな違いはない。アカヤジオウは過去、奈良県内でも広く栽培されていたとされるが、流通が減少し、ほとんど見られることはなくなった。今では橿原市内に地黄町としてその名が残っているに過ぎない。

根の部分を掘り上げて蒸したものが生薬名「地黄」として薬局方に収載されているが、市場では「熟地黄」「乾地黄」「生地黄」という名前で流通している。これら三種の地黄は調製方法により区別され、それぞれについて少しずつ適用範囲と効能が違っていることに特徴がある。

地黄

採取時期:
秋頃
調製法:
熟地黄は水蒸気で黒くなるまで蒸した後、乾燥させたもの。
乾地黄は掘り上げた根を天日干しで乾燥させたもの。
生地黄は掘り上げた根を生のまま砂地で保管。
成分:
イリドイド配糖体(カタルポール)など
用途:
貧血や虚弱体質の改善に補血・強壮の薬として漢方処方に広く用いられる。
漢方処方:
八味地黄丸、十全大補湯、当帰飲子、六味丸など

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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