北アメリカ原産のマメ科の一年生の草本で、江戸時代に異国から渡来したという意味から夷草(えびすぐさ)と名付けられた。直立する茎の高さは0.7~1m程度になり、葉は偶数羽状複葉で、小葉は長さが3~4cmほどで先端が幅の広い倒卵形をしている。夏になると黄色の5弁花が咲き、花が終わったあとには長さが約15cmほどのサヤができる。サヤの中には多数の種子が入っており、この種子を乾燥させたものを生薬名「決明子(けつめいし)」と呼んでいる。
決明子はアントラキノン誘導体を含んでいることから下剤としての作用があるが、生薬名にいうところの決明(明を開く=視力の回復)の様な作用はない。しかし、便通を整えることで目のまわりの血行がよくなることから視野が開けることからこの名が付いたと言われている。
決明子はハブ茶の材料として一般には利用されているが、元々ハブ茶はハブソウ(生薬名:望江南)の種子から作られていた。しかしながら、ハブソウは栽培が難しく、また採取も面倒なことから次第によく似た決明子に置き換えられていった経緯がある。
(奈良県薬事研究センターよりご提供)