奈良県薬剤師会

薬用植物紹介


アンズ
Prunus armenica

バラ科の落葉性の高さ5mほどの高木で、日本各地の丘陵地など比較的冷涼な地域で栽培されている。原産は中国といわれ、日本では長野県や山形県で多く栽培されている。樹皮は暗紅褐色で縦に細い裂け目がある。葉は互生、葉柄は2.5〜4.5pで帯紅色、葉身は卵円形で長さ5〜9p、細鋸歯縁、葉先は急に細まり尖る。4月頃に咲く5弁の花は小枝の頂に単生、白〜淡紅色で5弁、ときに重弁。雄ずいは多数。核果は心臓卵円形で径3〜4p、短軟毛で覆われ、側面に1 本の浅い縦溝があり、黄紅色に熟す。

アンズの種子を生薬名「杏仁(きょうにん)」と呼び、咳止めを目的とする漢方処方などに利用される。杏仁には青酸配糖体であるアミグダリンが含有されているが、これは共存する酵素によって加水分解されることでシアン化水素・ベンズアルデヒド・グルコースを生じる。この微量のシアン化水素が鎮咳作用を示すといわれている。また、杏仁を原料とされる製剤のキョウニン水ではシアン化水素の含量が0.09〜0.11%に規定されている。

杏仁(きょうにん)

採取時期:
夏頃に熟した果実を採取する。
調製法:
夏季、果実が熟したときに核をとり、風通しの良い日陰で乾燥する。9〜10月頃に核を割り、種子を取り出し、さらして乾燥する。
成分:
脂肪油の他、青酸配糖体(アミグダリン)など
用途:
主に咳止めと見なされる漢方処方に配合される他、キョウニン水の原料としても用いられる。
漢方処方:
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)・麻黄湯(まおうとう)、清肺湯(せいはいとう)、麻子仁丸(ましにんがん)などがある。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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