薬用植物紹介

ミシマサイコ

ミシマサイコ
Bupleurum falcatumm

セリ科の多年生草本で、本州・中国四国地方の山地・丘陵地の日当たりの良い草原に自生する。根茎は太く短く、根は肥厚する。茎は直立し、高さ 40~100cm、細く堅く緑色で、中部以上で分枝し、ジグザグに曲がる。葉は互生し、線形または広線形で堅く、先に行くに従い細くなり、多くは先端が尖っている。8~10月に黄色の小花を咲かせる。

日本薬局方ではB.falcatumの根を生薬名「柴胡」として収載している。また、神農本草経の上品に収録されている。ミシマサイコの名は良品の産地として知られた静岡県三島市が由来であるとされている。

野生品は生薬原料としての市場性はなく、国内産はほとんどが栽培品で占められている。奈良県内では十津川村などで栽培が行われている。さらにその不足を補うべく中国や韓国産の柴胡が輸入されている。

柴胡

採取時期:
11~12月頃
調製法:
掘り起こした根茎を、水洗後、乾燥してから茎やひげ根を除いて涼しいところで保管する。
成分:
イコサポニン(a~f)など
漢方処方:
解熱・鎮痛・解毒・鎮静薬として用いられ、以下に示す多数の漢方処方に配合されている。
乙字湯・加味帰脾湯・加味逍遙散・荊介連翹湯・柴胡桂枝湯・柴胡桂枝乾姜湯・柴胡清肝湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・柴朴湯・柴苓湯・滋陰至宝湯・四逆散・十味敗毒湯・小柴胡湯・大柴胡湯・小柴胡湯加桔梗石膏・神秘湯・補中益気湯・抑肝散など

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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