薬用植物紹介

ボタン

ボタン
Paeonia suffruticosa

ボタン科の落葉性の低木で、高さは50~180cmで、茎は直立して分枝する。同じボタン科のシャクヤクとの違いは,シャクヤクは葉が赤みを帯びており光沢があるが,ボタンの葉は緑色であまり光沢はない。4~6月頃に枝頂に色は紫や赤など様々の花が一個咲く。

聖武天皇の御代(724年)に空海が中国より持ち帰ったのが最初と言われており,当初は薬用で用いられてきた。以来,薬用のみならず観賞用にも栽植されているが,薬用とされているのは一重の赤紫色などの限定された品種である。以前では奈良がボタンの産地として台湾などに輸出していたこともあったが,近年は中国からの輸入品がほとんどとなっている。

根皮の部分が生薬名「牡丹皮」として用いられる。開花期に摘花した4~5年程度のものを掘り上げて収穫する。水洗いした根は芯抜きを行って調製する。

牡丹皮

採取時期:
4~5年経過した9~12月に根を掘りおこす。
調製法:
水洗いした根から芯を除き、乾燥
成分:
ペオノール,ペオニフロリンなど
用法・用量:
主として漢方処方用薬として用いる。鎮静・鎮静・通経・排膿などに応用して用いられる。
漢方処方:
温経湯・加味逍遙散・牛車腎気丸・大黄牡丹皮湯など14処方である。

(奈良県薬事研究センターよりご提供)

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