薬用植物紹介

ゴシュユ01

ゴシュユ
Evodia rutaecarpa Bebtham

ミカン科(Rutaceae)。中国の温暖地帯に分布する雌雄異株の落葉小高木。高さ3~5m、葉は対生、全緑で両面が有毛。全株に特異な強臭がある。6~8月頃、円錐形の集散花序の黄緑色の小花を頂生する。その後、紫褐色となって熟すると開裂するさく果を結ぶ。偏球形のさく果を乾燥したものを民間的には水毒による胃痛、嘔吐等健胃薬として用いる。また、最近ではその熱水抽出エキスにインターフェロン誘起作用が認められたことが確認されている。日本には雌株のみがもたらされ、享保の頃、小石川薬草園に栽培されたものが株分けされて各地に広まった。現在では熊本県、鹿児島県、奈良県等で栽培されているが、市場にはほとんど出ず、日本の市場品の大部分は中国産である。

採取時期:
11月頃
調製法:
果実を採取し、日干しでなるべく急速に乾燥させる。古いものほど良品とされ、少なくとも収穫後1年以上経過したものを使うようにする。
性味:
性は大熱、味は辛・苦
帰経:
肝・胃・脾・腎経
成分:
インドールアルカロイド(エボジアミン、ルタエカルピン)、キノンアルカロイド(エボカルピン)の他、苦味結晶性成分リモニン等を含む。特異の臭気は鎖状テルペンによる。
漢方処方例:
ゴシュユ湯、温経湯、当帰四逆加ゴシュユ生姜湯等。

(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)

[↑]