奈良県薬剤師会

薬用植物紹介


ヒガンバナ
Lycoris radiata (L'HERIT.) HERB.

ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)東アジア原産の多年草で、弥生時代、大陸から稲作とともに渡来したと考えられる。土手、路傍など人家の近くに自生し、しばしば群生する。秋の彼岸の頃、葉がないときに、高さ約30cmの花茎が直立し、その先に真紅の花を数個、球状に咲かせる。花は6弁で花被片は細長く、外へそる。花後、細長い深緑色の葉を根元から多数出す。葉は翌年3月ころ枯れる。

「和漢三才図絵」に"秋分に盛んに咲く。故に彼岸花と名づく"と記載され、その他、曼珠沙華、幽霊花、シタマガリなど、別名、方言が多い。

葉が枯れた3〜4月頃、鱗茎を掘り起こし外皮を除き、乾燥したものを石蒜とよび、去痰薬、催吐薬として使用する。

民間では鱗茎の外皮を除き、すりおろしたものに酢、又はヒマシ油を加えて乳房の炎症、関節痛、肩こりに湿布し、脚気、腎臓病等の浮腫に両足の土踏まずに張る。

また、いんきんたむし、ぜにたむしなどの皮膚病にも外用する。

石蒜の成分のリコリン(アルカロイド)は有毒で下手に内服すると大変で、昔、セキサノール等の医薬品が作られた。

リコメンを接触還元することにより毒性の強いジヒドロリコリンとなり、アメーバ赤痢の治療にエメチンの代用に用いられる。

(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)

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