■ 医 薬 情 報

疥癬の治療薬と感染防止対策

疥癬は疥癬虫、別名ヒゼンダニがヒトの皮膚角質内に寄生して激しい痒みを起こし、人から人へ移る皮膚感染症である。
1980年頃から、特にノルウェー疥癬患者を感染源とした老人施設や病院などからの集団発生が多数見られるようになった。

生態 疥癬虫(大きさ0.2〜0.4mm)がヒトの皮膚に寄生。
雌が皮膚に取り付くと10〜40分で角質内に侵入し、毎日約2mmずつ疥癬トンネルを掘り、その中で産卵し続けて2〜3ヶ月生存する。
卵は1日1〜3個産み、14〜17日で成虫になる。
人体から離れた場合、温度25℃、湿度90%の条件で3日間、湿度30%では2日間生存し、温度12度、高湿度の条件では14日間生存可能。
湿度に関係なく温度50℃の条件では約10分で死滅する。
卵は乾燥状態でも1週間でも生存する。
感染経路 人から人への感染
・寝具・リネン類や医療機器等を介しての感染
・ノルウェー疥癬患者を感染源とする感染

*ノルウェー疥癬とは*
  免疫が低下した患者、例えば老衰、癌末期、ステロイド剤、
   免疫抑制剤を使用している場合に発症。
  疥癬虫(ヒゼンダニ)の数は1人あたり100万〜200万まで増加する。
   (通常は多くて1000匹)
臨牀症状 小さい丘疹が全身に散在して出現する。
(アトピー性皮膚炎や老人性の乾皮性湿疹などと誤診されやすい。)
好発部位:手指の間、指の側面、外陰部など
陰嚢、陰茎に結節が認められる。
夜間に痒みが増強する。
ステロイド使用により増悪する。
治療 *610ハップ(ムトーハップ)
     入浴の場合:湯180リットルに対し、13〜17gの原液を入れる。
     塗布法:原液を約5倍にうすめ患部に塗布する。
     湿布法:原液を約50倍にうすめ湿布する。

*1%γ‐BHCオイラックス軟膏

     入浴の8〜24時間前に頸部より下半身に塗布し、入浴時に洗い流す。
      (1回/週)1回20gを目安とする。

*オイラックス軟膏
      清拭又は入浴後、毎日頸部より下半身に塗布する。
      1日15gを目安とする。

*イオウサリチル酸チアントール軟膏
     入浴が困難な場合(γ‐BHCを洗い流すことが困難な場合)
      又はイオウかぶれが起こる可能性がある場合等に用いる。
     (有機硫黄のチアントールは無機硫黄より刺激性は弱く、
      全身に塗布しても皮膚刺激は少ない。)

     皮疹部を中心に1日1〜数回、2週間を限度として使用する。

<小児・妊婦の場合>
*イオウサリチル酸チアントール軟膏
     皮疹部を中心に1日数回、2週間を限度として使用する。

*オイラックス軟膏
     皮疹部を中心に1日数回塗布する。
      ただし、広範囲、多量塗布は避ける。

使用上の注意
    薬剤を不必要に使用しない。疥癬のライフサイクルは約2週間。
    湿疹様病変を生じても、虫体や卵が生存している間は、
     ステロイド剤は使用しない。
    痒みの激しい時は、抗ヒスタミン剤の内服を使用する。
    角質軟化作用のある10〜20%尿素軟膏(ケラチナミン軟膏等)の
     併用も効果的である。
感染防止
患者 ノルウェー疥癬の場合は隔離の必要あり。
入浴の順番は原則として最後とすることが望ましい。
リハビリは一時中止する。
治療中は肌着などを毎日交換する。
(同じ着衣を着つづける場合は最長48時間)
介護者 610ハップによる手洗いを励行。
介護の際は、予防衣、ディスポの手袋を使用。
発疹、掻痒感のある場合は速やかに医師等に申し出て、
適切な処置を行う。
病室 床は毎日掃除。
200倍希釈したホエスミン(塩化ベンザルコニウム10%液)にて清拭する。
カーペットはピレスロイド系殺虫剤を表面と下に散布、
1時間後、掃除機で吸引。
ドアノブ、洋式トイレ、ポータブルトイレはピレスロイド系殺虫剤
又はホエスミンで清拭する。
布団・毛布 2回/週、日光消毒又は布団乾燥機により熱乾燥。
シーツ 寝間着は毎日、シーツは1回/週交換
洗濯機で65〜70℃のお湯を用いて洗濯
浴室 浴槽の栓を抜き取り、洗剤を用いて洗浄後、熱湯で洗い流す。





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